本の虫もどきは働きたくない

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【フランス】壁抜け男【異色作家短篇集】

こんばんは、tori1031です。

異色作家短篇集からこの本を読みました。

壁抜け男 / マルセル・エイメ

壁抜け男 (異色作家短篇集)

壁抜け男 (異色作家短篇集)

フランスの作家で、モンマルトルには彼を記念した広場も造られたそうです。 読んでいるうちにフランスに行きたくなりました。機会があれば行ってみたいですね。

目次

  • 壁抜け男
  • カード
  • よい絵
  • パリ横断
  • サビーヌたち
  • パリのぶどう酒
  • 七里の靴

あらすじ・感想

壁抜け男

この男は不思議な才能の持ち主で、何の苦もなく壁を通り抜けることができるのだった。

題名通り壁をすり抜けられる男の話です。能力に気付いてもしばらく使わないようにしていたんですが…気に入らない上司に対するいたずらのために能力を使用しはじめるというのが人間らしいといいますか。なんとなく彼の末路は予想して読んでいて、最後まで読んでその予想が正解だったんですけど、外れてほしかったなあ。

カード

国が、食糧不足対策や労働の高能率化のために、非生産的な消費者(老人、退職者、失業者など)たちを一時的に死なせます。消費者たちは配布される時間カードでその月に生きられる日数が決まります。

この話は消費者ジュール・フレグモンの書いた日記という形式です。自分は芸術家だから政策の対象者にならないだろうと思っていたみたいですけど、当然非生産的な消費者に含まれます。じゃないと話はじまらないし
日記の始めは政令後自分や周りで起きたことについて語られます。カードの譲渡ってできるのかなと思っていた中盤あたりでカードを売る消費者達が現れ始めます。

突拍子もない設定と妙にリアルな人間達とで不思議な話でした。 食糧不足対策には有効そうですけど、結構不便な制度です。カードの受け渡しや他のことでの不便が解消したとしてもやりたくないですけど。

よい絵

ラフルールの描いた絵は素晴らしく、二十分か三十分注意深く見ているだけで栄養に、食事をとったのと同じになります。

絵に良い付加効果のある話は多分初めて読みました。途中雲行きが怪しくなったりちょっとやりすぎなくらい良い方向に向かったりな展開は読んでいて楽しかったです。それだけに最後の文にはっとしました。

パリ横断

裏で豚肉の取引が行われており、ばれないように重いそれを運ぶのが主人公の仕事。今日会ったばかりの相棒は性格に難があり…無事に豚肉を届ける事ができるのでしょうか。

はじめ「この豚肉はじつは人間の死体に違いない」とか考えていた馬鹿は私です…。主人公が豚肉運びをしつつも真面目だったから最後にああしたんだろうな。性悪説のほうがしっくりくる私には行動は起こせてもどうせ駄目だろうと諦めます。

サビーヌたち

この女は同時存在の才能の持ち主で、自分を好きな数だけ増やすことができると同時に、肉体と精神を望む場所に存在させることができるのだった。

サビーヌに同情できない…。
反対に旦那さんがかわいそうすぎます。分身にあることをさせていた妻を見て、様子が変だと思うよりもなんて美しいんだと考えたのはちょっとなと思う人もいると思います。けれどまさかそんな能力があるなんて普通思いませんし、実際見たって彼のように疲れてると思うでしょうし。あと近所の人たちは勝手に期待して勝手に失望したあげく旦那さんにぶつけちゃ駄目でしょうに。

パリのぶどう酒

ぶどう酒嫌いのぶどうの作り手の話が始まったと思うと、大好きなぶどう酒を飲むお金のない小役人に変わります。

語り手が好きなように話している小説です。え、話変わるの?ってなりました。
小役人の話の展開は途中まで予想できなかったです。途中から予測がついて「誰か気付いて奴を止めて」と思っているうちに想像以上の事態で終わります。最後の最後にぶどう酒嫌いが出ていなかったら、最初は彼が話の主役だったことを忘れていたと思います…。

ところで、「ワイン」と書いてあるより「ぶどう酒」と書いてあるのほうが美味しそうに見えるのは私だけでしょうか。
美味しいワインを飲んだことがないので、昔読んでいた物語に出てきたぶどう酒の方に惹かれるのかもしれません。 あーでも白ワインは美味しいの飲んだことあるから、他の理由…全く思いつかないです。なんだろう。

七里の靴

学校帰り、冒険で辿り着いた骨董屋には「七里の靴」が一足展示されています。少年達はその靴が本物と信じて欲しがります。

親に買って来てもらうよう頼んでみるんですけど、この骨董屋の店主がすごく変人だし、靴は高価だしで親は買いません。でも親達は正直にそうは言わずに違う理由を言います。良い子にしていないから買わない事にしたとか。我が家サンタの来なかった年ってゲーム機を所望してたなぁ。
読んでいて童話を読んでいる気分になりました。

七里の靴って何?

ペロー童話やグリム童話によく出てくる不思議な靴で、一歩で七里移動できる靴です。 何かの話で人間の主人公が巨人から七里靴並に優れた不思議な道具を持ち逃げするのに使っていた覚えがあります。他にも魔女が逃げた人間を追ったり、修行の褒美にもらえたり…色んな話に出てきます。話のタイトルが思い出せない

日本だと一里が約3.9kmですから…一歩で約27.3km。徒歩は分速80mということになっているから時速8km、一歩で3時間以上歩いたのと同じになるようです。


ペローに影響をうけていると聞いて納得しました。 カーシュもすごいけど、この人も経歴すごいんですね。

今回感想自由に書きすぎました。感想と関係ないこと沢山書いてますし…でも楽しかったです。