こんばんは、tori1031です。
先日献血に初挑戦したら色々基準に足りてなくて200ml献血しかできませんでした…。
ということで、今回は異色作家短篇集から題目に血が入っているこの本です。
血は冷たく流れる / ロバート・ブロック( 訳:小笠原豊樹 )
- 作者: ロバートブロック,Robert Bloch,小笠原豊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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「サイコ」の原作者だったんですね、知りませんでした。ホラー映画なるべく見ないようにしてるからなあ。
短編が16話収録されています。
目次
- 芝居をつづけろ
- 治療
- こわれた夜明け
- ショウ・ビジネス
- 名画
- わたしの好みはブロンド
- あの豪勢な墓を掘れ!
- 野牛のさすらう国にて
- ベッツィーは生きている
- 本音
- 最後の演技
- うららかな昼さがりのできごと
- ほくそ笑む場所
- 針
- フェル先生、あなたは嫌いです
- 強い刺激
あらすじ・感想
芝居をつづけろ
肝心なのは、自分の役に注意を集中し、演技を計算すること、それだけだ。
休憩時間にかれは劇場隣の酒場へ行き一杯飲んでいると、酔っ払いが絡んできます。休憩時間が終わるまでにかれは劇場に戻りたいのですが…
☆
俳優ってすごいなと思う一方で、そうまでして演技に固執しているのが不思議でした。 普通に読んでもいいんですけど、ラストの話事前に知っておけばよかったなあ。そしたら注釈なしで「ああそういうことか」ってなれただろうに。
治療
ジェフ、ルイス、マリーはある理由でジャングルに滞在していますが、過酷な環境でマリーが熱病にかかってしまいます。怪我をしたルイスはジャングルに残り、他の二人と、ジャングルで知り合ったサンタレンとで出発します。
☆
熱病は精神的なものです。英語わかる人なら途中のルビを見て何が起こるか予想できると思います。私は駄目でした。
こわれた夜明け
核弾頭が空を飛び、その通過のたびに山が揺れた。
核ミサイルが降り注いだ後の町を歩き回ります。読んでいて苦しくなるほど景色や人間が詳細に綴られています。
ショウ・ビジネス
「それがショウ・ビジネスというものさ」と彼は言った。
大学教授が誰にも知られないように頼んで、大手PR会社の社長と会談を行います。教授は完全な計画書を持ってきたと言い、その説明を始めます。
「だれにも知られないように」
「わかりました」
最初に一人隠しているんですが…。
名画
そう、わしも、その昔、名画を描いたことがあるよ。
美術館に絵が飾られた事もあると老人は言いますが、聞き手の反応から信用されていないと判断します。そこで彼は絵を描いていた頃の話します。絵のモデルでもある大好きだった彼女に裏切られた時の話を。
☆
シンプルですがこういう話好きです。
わたしの好みはブロンド
わたしはブロンドのブロンドたるところを愛しているのだ。
老人が大好きなブロンド娘を探したり、ダンスフロアから連れ出そうとする話。
☆
衝撃のラストですが、あのネタは出た時点で気付きたかったなあ。注意力が足りないです。
あの豪勢な墓を掘れ!
本を書こうとジャズについて調べている教授とその彼女とで、演奏を聞きに行きます。教授はドラマーのジョジョに話を聞いたりファンの様子を観察したりしていますが、彼女は彼らの雰囲気が苦手だと教授に言います。しかし後日、なぜか彼女はジャズに嵌まっており様子もすっかり変わっています。一体何が?
☆
各年代にぴったりな演奏ができるというジョジョとタイトルを見て、死体が動いている話だと予想していたら当然そんなことはありませんでした…。そうでないなら普通にジャズにどっぷり嵌まった人たちの話かと思っていたので、後半の教授の説明読んでいて印象が変わりました。ただ、あの場でその話したらそりゃそうなります…そこまで考える余裕はなくなっていたでしょうから仕方ないですけれど。
登場人物の名前のジョジョに反応してしまいました。数年前まだ学生だった頃にジョジョの話になって、四部の宇宙人登場したとこまでしか読んでいないって話した直後に相手に五部のネタバレされたなあ(涙目)。
野牛のさすらう国にて
狩猟生活をしていますが武器や本の話が出てきて、彼らが文明を捨てて昔の生活に戻った事がわかります。本を読まないようにしている男が昔経験した非日常な出来事について語ります。
☆
文明社会に生きているからってそうでない人たちを見下すのは違うよなあ。途中でどう証拠隠滅するんだろうと思っていたらあっさり解決してました。
本を読む・読まないを自由に選ばせるってのも有りなのかな思います。本嫌いの人って学校で強制されたのがきっかけになってる人多そうですし、情報収集の手段は本だけじゃないですし。
ベッツィーは生きている
映画公開前に女優ベッツィーが亡くなってしまいます。映画を成功させるために彼女に関する様々な噂を作って流す話がやってきますが、作家をしている主人公はそれを断ります。やがて噂が流れ始め…
☆
今の日本だと「○○さん出演映画特集」とかしちゃうくらいなので逆なのかと驚きました。
本音
ある日突然誰もが「本音」しか言わなくなります。隣人も政治家も嘘を吐かないのは一体何故か記者が早速調べます。
☆
わりとすぐに何故嘘がなくなったかの説明は出るんですけど、それで終わらずその後の記者と上司のやりとりが始まります。 嘘によって騙される事も無知でいられる事も救われる事もありますから、難しいところです。
最後の演技
酒に呑まれているが昔はすごかったんだと言う主人の宿に、男は泊まることになります。そしてそこの女から私を連れて行ってと頼まれ了承してしまいますが…
☆
最後の想像してぞくっとしました。うえ。
うららかな昼さがりのできごと
女優が仕事を辞めようとしているのを止めてくれとカウンセラーは頼まれます。彼女と対話し、最近見た夢について聞きますが、その夢は有名なあの話と全く同じで…
☆
ファンタジーな夢ください
ほくそ笑む場所
スーザンは一刻も早く、ほくそ笑む場所へ行きたかったので、ほとんど走るようにして坂道を下った。
スーザンが命名した、公園のはずれにあるひとりで考えにふける場所のことです。彼女は容姿に自信がありませんが、事件に巻き込まれたことで一時的に皆から注目を集めていました。この調子で好きな人からも…と思っているうちに事故に巻き込まれた子のほうに注目が移ってしまいます。どうにか彼の気を惹きたいスーザンはほくそ笑む場所である計画を思いつきます。
☆
その命名センスがあればちょっとした人気者になれそうだけどなあ。
針
主人公が借りようとした屋根裏部屋に奇妙な男がいました。本に囲まれた部屋で針を手にした男は、ページを捲り針を突き刺していきます。一体何故?
☆
予想せずに、というかできずに読みました。 次の瞬間何をするかわからない人間が苦手って部分すごく共感しました。好奇心はほどほどにしないとですね…
フェル先生、あなたは嫌いです
広告業に勤めるもうまい言葉が出てこなくなった男がフェル先生のカウンセリングをうけます。
☆
題名の違和感でどういう状態か予想できます。最後のセリフから男の選択がわかりますが、それを選ぶくらい追い詰められていたのかと思うと少し同情してしまいます。
強い刺激
ミッチに逢ってからだった、ほかのことをしったのは。
典型的な思考停止で言いなりなジュディ、ジュディに刺激と指令を与えるミッチ、かもにされていると知りつつ動いているケニー。
☆
ジュディがアホの子すぎる…相手にわざわざかもにしてること言っちゃうし。その報告聞いてもケニーを利用するミッチもミッチだし。早い段階で気味が悪いってなっていればあんなことにはならなかったろうなあ。
ジュディのような相手の言うことだけ聞いて他は考えないって危険な状態だけどすごく楽ですよね。だからこそ盲信や思考停止はしないようにしていこうと思います。
読んでいて場面を想像しやすかったです。映像化されている作品も見てみようかな。
ハッピーエンドなんてなかった