こんにちは、tori1031です。
旅行に行きたいとぼんやり思っているので、異色作家短篇集からこの本を読みました。
夜の旅その他の旅 / チャールズ・ボーモンド
- 作者: チャールズボーモント,Charles Beaumont,小笠原豊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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目次 ( 原題 )
- 黄色い金管楽器の調べ ( The Music of the Yellow Brass )
- 古典的な事件 ( A Classic Affair )
- 越して来た夫婦 ( The New People )
- 鹿狩り ( Buck Fever )
- 魔術師 ( The Magic Man )
- お父さん、なつかしいお父さん ( Father, Dear Father )
- 夢と偶然と ( Perchance to Dream )
- 淑女のための唄 ( Song ]for a Lady )
- 引き金 ( The Trigger )
- かりそめの客 ( The Guests of Chance )
- 性愛教授 ( The Love-Master )
- 人里離れた死 ( A Death in the Country )
- 隣人たち ( The Neighbors )
- 叫ぶ男 ( The Howling Man )
- 夜の旅 ( Night Ride )
各短編 あらすじ・感想
黄色い金管楽器の調べ
四年惨めな生活をしてきた少年は念願の闘牛士として闘牛場に立てることに。
有名な興行師に素晴らしい新人だと賞賛され、憧れの名闘牛士たちと酒を飲み、美女と踊る夢のような歓迎会。少年は喜びますが、少年を興行師に売り込んだ相棒の様子がおかしいような?
少年が好運だと思えたならそれでいいのかもしれません。
古典的な事件
未だに好意を抱いている女性から夫の浮気のことで主人公は相談をうけます。
夜の駐車場、外からは暗くて見え辛い場所に停めてある車に夫が乗り込むのを何度も見たので間違いないと彼女は言います。
女性の夫と主人公は幼なじみだから仲をとりもって欲しいと女性に頼まれた主人公は、幼なじみと浮気相手を別れさせようとします。
駐車場に向かう幼なじみを待ち伏せ、女性から相談をうけたことを話した主人公。
浮気を認めた幼なじみは主人公に相手を紹介しますが…
浮気相手を紹介って。
オチの予測はついていたものの思わず笑ってしまいました。
越して来た夫婦
引っ越してきた家は立派だし、近所の人たちもいい人なのですが主人公は気に入りませんでした。
家の前の住人が自殺しているし、壁紙にはどうやってもとれない血痕があるし、息子は近所の人たちに怯えて様子がおかしいし、
近所の人たちを招いたパーティーを行えば、妻は主人公の気にしていることを皆に喋ってしまうし、初対面の作家から妙な話を聞かされるし…。
口は災いの元。ってことで主人公にも非はあるけど妻が悪いと思います。
鹿狩り
社長と共同経営者に誘われた主人公は鹿狩りに同行します。会社にとって主人公が期待の人物かどうかを見られるはずです。しかし二週間経っても獲物は現れず…
最後の行動は優しさから、それとも諦めからでしょうか。 そんな単純なものじゃないのでしょうか。
魔術師
喘息と間接の痛みを患うマイカ老人は、魔術師(≒手品師、奇術師)としてシルク博士となり村々を渡り歩いてきました。…ちょっとした詐欺まがいの商売もしつつ。
作り話も得意で誰もが博士の魔術と話を楽しんでいました。
痛みに耐えながらショーをやり遂げた博士は観客に感謝し、恩返しがしたいと頼まれていた魔術の種明かしを始めます。
夢を見に来た人たち相手に現実を語っちゃ駄目ですよ。
何が悪かったかもわかっていない老人が少し可哀想と思いましたが、彼の傍にはまだオバディアがいるのが救いだと思います。オバディアは老人にも博士にも優しいですから。
お父さん、なつかしいお父さん
自分が生まれるより前に戻り、自分の親を殺すとどうなるか。
有名なタイムパラドックスを実際どうなるか確かめたいと偏執してきた男は、長い年月をかけてついにタイムマシンを作り上げます。
殺すのは男が六歳のときに亡くなった父親です。
ここで母親を選ばないのは男の奥さんが言った理由なんだろうなあ。
夢と偶然と
精神科医のもとへ72時間眠っていない患者がやってきます。
ただ不眠に悩まされているとしか聞かされていなかった医者に、患者は何故自分が眠らないかを話し始めます。
せいしんの ちからって すげー!
いきすぎた想像力の話、面白かったです。最後の段落ないほうが好きだなあ。
淑女のための唄
主人公は新婚旅行の船旅に古い船を選びます。その船はレディ・アン号という名で、今度の船旅が終われば廃船になる事が決まっていました。
いよいよ船に乗り込むとき、船の想像以上の古さに主人公達は驚きます。
その中の一人には船に乗るのを止めるよう執拗に言われますが、それに嫌な思いをしながらも主人公達は船に乗り込みます。
乗客は主人公達を除けば年寄りばかりで、皆レディ・アン号が好きでした。
理由も知らせず「乗るな」って言われても普通引き下がらないよね。
とくに主人公達にとっては人生の一大イベントでしたし。
主人公達の乗船を止めたがっていた理由がわかったとき、それのために乗客が集まっていたことに驚きました。
引き金
八ヶ月の間に富や名声を手にした男達が四人も自殺しました。警察は他殺を疑いましたが何の手がかりもありません。
事件の真相を解き明かすべく、フィリップ探偵が呼ばれました。彼は犯罪者を苦しめることが生きがいの変わった男でした。
さっそくフィリップは連続自殺事件について調査しますが、本当に事件なのでしょうか?
ミステリ風。
非道だけど殺人ではないような…でもトリックとそれを暴いた後の話が面白かったです。
私はこの話が一番好きです。
かりそめの客 チャド・オリヴァーとの共作
「ああ、こんな仕事を引き受けたことを」と、大統領はにがにがしげに言った。「わしは悔やまぬ日とてないよ。心底から後悔しておる」
「つまらんことをおっしゃらないで下さい!」と、副大統領がわめいた。「後悔していない人間は一人もいません」
大統領たちは、今の職を捨てて自由になりたいと思っていました。
あるとき、特別な宇宙船を発明したので援助してほしいという教授が来客しました。
私にいい考えがある
読みにくいけど、てんやわんやっぷりが楽しい話です。
性愛教授
性愛について知り尽くした教授のもとに、妻が不感症だと困っている若者が相談に訪れます。
教授はこれでうまくいくはずだと若者に知識を授けて帰しますが、翌日若者から、性交成功しなかったと聞かされます。
教授はつぎつぎテクニックを授けますが…
タイトルにファッ!?てなったのは自分だけでいいです…。
四十八手に詳しいとかかと思っていたらそれ以上の教授でした。知識があって実技も優秀ってそりゃMasterですわ。
グーグル先生、ただのタイトルとあらすじなので怒らないでくれるって信じてます。
人里離れた死
中年のバックは古い愛車とともに田舎のレースへ参加して賞金を稼ぐ生活をしています。
流石に新しい車には勝てないけれど、なんとか賞金のでる三位には入りたいバック。
そんな彼にレース参加者の若者が話しかけてきます。
若者は卑怯だったし詰めが甘いと思います。
得をしない取引に応じる人間なんてそうそういませんよ。
隣人たち
引っ越した先で黒人という理由で脅迫を受けている主人公一家。
脅迫状には「レイクサイド・ハイツ住人一同」と署名されていました。
家族の身に危険が迫ったとき、主人公は家族を逃がし、自分は奴らと戦おうとします。
イイハナシダナー
本当に?
叫ぶ男
主人公はフランスからドイツへ旅行に向かいます。ベルギーを経由しドイツに到着しますが、肺結核のために体調を崩して、辿り付いた村で気を失ってしまいます。
目を覚ますと主人公は聖ウルフラン僧院に運び込まれており、それから修道士から看病をうけました。
僧院では毎晩恐ろしい叫び声が聞こえますが、修道士はそんなものは聞こえない、幻聴だろうと言います。
しかし病気が回復しても叫び声は鳴り止まず…主人公は声の正体を探ります。
フランスもドイツも良いところだと思います。
修道士さんがひどいけど良いキャラしてます。
「 ( 略 ) 僧院長が申されるには、修道士は人が死ぬのを見ると、大いに為になるそうです。しかし、もう、あなたは死にませんな」
修道士は残念そうに頭をふった。
夜の旅
マックスのジャズ・バンドに新しく迎えられたピアニストの青年。
バンドメンバーの一人が冗談まじりにですが、青年をマックスから逃がしてやるよう主人公に言います。それに腹を立てる主人公でしたが、不安は拭えませんでした。
マックスと一対一で話した後の悲しげな青年を見て、主人公は不安が的中したことを知ります。
青年の演奏は人を惹きつける様になりましたが…
お悩み相談で傷を深くされるとか辛い。
マックスの主張は極端ですけど、そういう人たちの演奏に惹かれるのも事実でして。
だからって彼のわざと人を傷つけるようなやり方は間違っていると思います。
SFからギャグテイストまでいろんな話が詰まった本です。旅や引越しで長距離移動している話が多いかな?