こんにちは、tori1031です。
一ヶ月前に始めた某ブラウザゲームで、日本号追い回していたらすっかり更新期間が空いてしまいました。 今は小判集めてます
今日はタイトルに「なにそれ不味そう」と釣られて惹かれて借りたこの本を。
ブラックジュース / マーゴ・ラナガン
- 作者: マーゴラナガン,Margo Lanagan,佐田千織
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
「ブラックシュース」は「沈んでいく姉さんを送る歌」からきているのかと思っていたのですが全然違いました。
色の名前の付けて短篇集を出すために、改めて考えてつけられていたようです。
因みに他の短篇集は、一作目が「白い時間」で三作目が「赤いスパイス」だそうです。(雑訳)
目次
- 沈んでいく姉さんを送る歌
- わが旦那様
- 赤鼻の日
- 愛しいピピット
- 大勢の家
- 融通のきかない花嫁
- 俗世の働き手
- 無窮の光
- ヨウリンイン
- 春の儀式
各短編 あらすじ・感想
沈んでいく姉さんを送る歌
殺人の罪でタールの湖に沈められることになった主人公の姉。
ゆっくりと、しかし確実に、彼女が完全に沈む最期の瞬間まで主人公達家族が傍にいました。
☆
表紙の絵はこの話からのようです。絵では可愛らしく描いてあるけど実際おそろしい処刑方法です。
ダンロンのおしおきにありそう
最期一緒に過ごさなかった方が心の傷は浅く済んだのかなと思うものの、一緒にいられる最後の機会を放棄する人はいないよなあとも思ってしまいました。
どっちにせよ辛い。
わが旦那様
旦那様に仕える従者視点の話。
旦那様は城から抜け出した奥様を追って馬をとばしになられている。
はしたない奥様をきっと旦那様はお怒りになるだろう。追いついて、剣を抜くに違いない。
☆
旦那様ェ…いや寛大?なのは良い事なんですけども。なんですけども。
赤鼻の日
相棒のリストの元、レンタルの美しい銃を使い、主人公は照準器越しに赤鼻の道化師たちを次々仕留めます。
☆
道化師は忌み嫌われているようですが、何故かははっきりしないままばっさばっさ殺されていきます。
でも道化師って化粧のせいなのか動きのせいなのか、なんだか怖いですよね。
某ファストフード店の彼もMAD動画見るまで苦手でしたし。
主人公達も謎なんだよなあ。
愛しいピピット
動物園?で育てられている象視点の話。(施設が何だったか忘れました…)
彼女達の飼育係の中に、ピピットという名の優しい人間がいました。
彼女達はピピットのことが大好きでしたが、ある日突然どこかへ連れ去られてしまいました。
ピピットに再び出会うべく、彼女達は檻から出て、外の世界へピピットを探しに向かいます。
☆
象かわいい。
しかしピピットは一体何をしたのでしょうか。
盲信は楽なんですけど、文字通り見えなくなっちゃうのが難点ですね。
スナフキンも「崇拝は自由を失う」的なこと言っていましたし、信じるときは思考停止しない程度にしたいですね。
大勢の家
<詩人>は「三人の家」を棚から下ろし、まだ幼い主人公に話し始めます。 ―ここにはアンネ、ロブレー、ヴィルジャストラマラタンが暮らしている。
<詩人>のもとで素朴な生活をしていた主人公は成長し、<詩人>から離れた外の世界を知っていきます。そこで「大勢の家」に触れます。
☆
<詩人>苦手です。選択肢を取り上げておいて最後にあの対応だもんなあ。
現状に疑問を持ち、行動に移した主人公は立派だと思いました。
家族置いていったりもしましたが、家族だからって全部背負う義務もなければ自由を奪われる必要もないと思うのです。
融通のきかない花嫁
念願の花嫁になった女性が想定外の事態に合ってもしきたりを貫こうとする話。
―折角の靴が汚れたって、教会に遅れそうになったって、平常心を保ちルール通り行動しなくては。
☆
折れろ。心とか信念とか折れてしまえ。
…つい過激な発言が。いやそう思わずにはいられないほど彼女は融通がきかないんですよ。
でも学校まで行って(多分)一度きりのチャンスだったわけですし多少は仕方ないかな…でもなあ。
バランス大事に。
俗世の働き手
今にも死にそうな祖母のために天使を連れてくるよう祖父に言われた少年の話。
彼はかつて見た天使のことを思い出し、どうにか天使を見つけます。
これだけ聞くと良い話に聞こえますが、しかし彼らの言う天使と私達の知っている天使は随分違っておりまして…
☆
お前のような天使がいるか
横暴な祖父と変わった天使と主人公感溢れる少年…知らない童話を読んでいるようで面白かったです。
無窮の光
荒廃した世界、祖母の意思を尊重し遠地で葬儀を行うから来い、ヒロインは少ないお金でどうにか其処へ向かう。
幼い頃の祖母との思い出、
☆
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のような世界。
荒廃していて生き物がああなっていれば大体そう感じるようなっていますが。
ヨウリンイン
初恋の相手を隠れて眺める少女の話。
少女は小さい頃に「ヨウリンイン」の襲撃で両親を亡くしており、町の人から疎まれ生きてきました。
少女はヨウリンインが再び現れることを知り、町の人たちに話しますが、何を話しても嘘だと決め付けられ信じてもらえません。
☆
某君と○○するRPGばりに「人間なんて汚い…」と呟いてしまいました。
でも人間だし利己主義なのは仕方ないのかな。
自分だってあの人と同じ境遇で、最後らへんの同じ経験したとして、同じ事しないとは言い切れないし。それでももう少しましな行動とると信じたいですが。
春の儀式
すざまじい吹雪の中、険しい山で春を呼び込む儀式を行う少年の話。
いつもなら母親が、母が無理な年は弟が儀式を行っていたのですが、二人揃って病に伏せてしまい主人公にその役目が回ってきました。
狩りには自信があるけど他のことはちょっと…。そんな主人公だからか、重要な儀式だからか。
母はやたら厳しく彼に儀式について教え込んでいます。
吹雪や自分の境遇の怒りながらも儀式を行う主人公、はたして儀式は成功するのでしょうか。
☆
クトゥルフ神話に同じ?似た?名前のがいたような… でもあれは海だったかな、ううむ。
大事な儀式なので仕方ないのかもしれないけど、でも母の言い方きつすぎました。 もっと主人公に優しくしてあげて…。彼が不憫に思えて、同情と応援をしながら読みました。 良かったです。
人間の良さや悪さが鮮やかに描かれていた、よう思いました。
SFもファンタジ-もそうでない普通の話もどれも良かったですが、普通の話のほうがより人間の心を掘り下げているよう思いました。象は可愛い。
ただ「ヨウリンイン」とか読んでいて心が痛くなるなったので、著者の他の作品を読むときは心に余裕があるときにしようと思います。 これだけ象推しておいてあれなんですが、一番好きな話は「春の儀式」でした。