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コミュ障は本の虫の夢を見るか?

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破局【異色作家短篇集】

読書

こんにちは、tori1031です。

異色作家短篇集からこの本を。「レベッカ」「鳥」が有名な作家です。

破局 / ダフネ・デュ・モーリア

破局 (異色作家短篇集)

破局 (異色作家短篇集)

目次

  • アリバイ ( The Alibi )
  • 青いレンズ ( The Blue Lenses )
  • 美少年 ( Ganymede )
  • 皇女 ( The Archduchess )
  • 荒れ野 ( The Lordly Ones )
  • あおがい ( The Limpet )

各短編 あらすじ・感想

アリバイ

「奴らは知らないんだ」と彼は考えた。「家のなかにいる人間どもは……おれの身振り一つで、今、この瞬間、自分達の世界が変わってしまうかもしれないということを。ドアをノックする。すると、だれかが出てくる――女があくびをしながら、老人がスリッパーをひっかけて、子供がいらだっている両親にせきたてられて。おれの意志ひとつで、おれの肚ひとつで、奴らの未来はすっかり決定されてしまうのだ。顔がめちゃめちゃになる。とつぜん、殺人。盗み。火事」ざっとそんな具合、いとも簡単なものだ。

繰り返される決まりきった生活に嫌気がさした男は、赤の他人の殺害を決意します。
数字を組み合わせて辿り着いた家、そこの住人である青白い顔をした外国人の女性とその子供が標的に選ばれます。
男はいきなり事件を起こすのではなく、自らを画家と偽り、その家の一室を借りて通いつめます。
そうするうちに男は退屈な日常から離れた生活と、絵を描く楽しみを手に入れました。 男は当初の目的を果たすのでしょうか?どうなるのでしょうか?

とんだサイコ野郎だぜ。おっと口調が。
繰り返しが嫌になるのはわかるんですけど、だからって殺人思いつかなくても…。標的の選び方が数字の組み合わせなのが余計に。
身近な人たちを騙して別人として振舞ったり趣味に没頭したりするとこは憧れますよね。 手回しすごく面倒そうでやろうとも思いませんが。

終盤の男が巻き込まれた一件に驚き、読み終わったとき何を信じていいのか困惑しました。
でもその混乱がたまらなく良い…!

青いレンズ

盲目になってしまった女性が視力を取り戻すべく手術をうけます。 手術で青いレンズを嵌めるまでの期間、いつ手術をするか知らされずに、過剰に親切にされながら過ごしたせいか不安や不信が募って神経が参っています。
手術をし、青いレンズによって彼女は久しぶりに目が見えるようになります。レンズのために色は青のみの世界ですが、見えることが嬉しい彼女には些細なことでした。(数日後、色のついていないレンズに交換する手術あり)
物を見るのを楽しんでいた彼女は、食事を運んできた看護婦を見て驚きます。
看護婦の頭は、牛の頭をしていました。
看護婦一人だけではありません。病室に訪れる人はみな動物の頭をしていました。信頼している人たちさえも…。

ミノタウロスとかアヌビスとかかな (違う)
人間の頭だけが別物、って最近割とメジャー(?)で見慣れてますけど、慣れてなかったら絶対しんどいですね。慣れててもきついか。

彼女の見たものにその人の本性が反映されていたとしたら、最後に見たものにも納得がいきます。
神経過敏になったあげく怖い目に合って可哀想な人でした。

美少年

旅行でヴェニスに訪れ、満喫していた主人公。広場を通りがかったとき、デジャブともロマンスとも違う説明しがたいもの感じます。
広場には二つのオーケストラとカフェがあり、席について給士を探していると、その給士の中から美しい若者の姿が目に留まりました。
その瞬間、思わず涙がこぼれるほどの衝撃をうけた主人公は自分のことをゼウスと、彼をガニメデだと"知り"ました。
ガニメデの酒酌のために広場へ通う主人公の結末は。

ガニメデ ( ガニュメデス )はギリシャ神話に出てくる少年で、全知全能の神ゼウスが誘拐手元に置いておくほどの美人です。
自分のことゼウスとか思っちゃう主人公が怖いし、少年の叔父も金のため?の動きが怖い。

主人公が美少年へ理想抱いてて、「思ってたのと違う!」って憤慨するシーンがあるのですが、これって私達もよくやりますよね。
「アイドルは純粋だ」とか「あの人はこんな趣味を持っているに違いない」とか。
勝手に描いたイメージが壊れて傷つくより、ありのままの相手を受け入れられたらいいんですけど…うまくいきませんね。

皇女

自然豊か、国民は幸福、王族は秘術により不老…そんな架空の王国で革命が起き、共和国になります。
革命首謀者たちによる歴史の改ざんが行われていく中、書き手は本当はどのように革命が起きたのかを書き記します。

途中までおのれマスゴ…マスコミ。(厳密には違う)
って思いながら読んでたんですけど…妄想乙な国民や何もしない王族に、段々げんなりしたりいらいらしました。

他には革命後の実行者の行動が納得いかないです。
皇女を救うぞ!(革命) → 不老の秘術話せよ!(拷問)
お前らなにやってんの?
いや、秘術を公にさせたかったのは知ってるけど…お前ら何やってんの?
…つい口調が荒れました。

荒れ野

「ノー」という言葉が嫌いで、舌がもつれているのか話せない少年。
早春、両親に連れられ荒れ野に引っ越した彼は食料泥棒の話を聞きます。
食物部屋を襲う恐ろしい、けれどとても優しくて綺麗な顔をした泥棒…。そう聞いた彼は、泥棒に興味が沸き、盗みを働かなくて済むようにと食料を用意しますが、そのことが原因でお仕置きをうけます。
用意しておいた食料を見つけた泥棒を見た少年は、美しくて賢そうな彼らについていくことにします。

泥棒…一体何者なんだ?
相手は人間と思えないんですけど「髪の毛」って出てきて混乱しながら読み終わりました。

荒れ野は泥棒のことだったのかと間違えたりするところは子供っぽいのに、泥棒への観察眼とかは立派な少年でした。

仕置きは論外として、少年も悪いとはいえ扱いが雑すぎやしませんかね…不注意とはいえ痣が出来てましたし。少年視点なので本当はそんなひどい扱いしてなかったのかもしれませんけど。

あおがい

どうみてもわたしは鈍感な女ではない。それが苦労の種なのだ。他人の感情に無感覚になれたら、人生はがらりと変わったものになるのだが。無感覚でいられないために、このとおり敗残者になってしまったのだ。わたし自身の罪ではない。それというのも。愛する人たちを傷つけることに耐えられないからなのだ。

こう語り始めたのは将来の不安を抱える、四十歳に近い女性。自分は没我的、周りの人からは頼られたり利用されてきたという彼女は今までのことを語り始めますが…。

とんだサイコ野郎だぜ。おっと口調が。しかも女性でした。さっきも言ったような
彼女は本気で自分の何処が駄目だったのかわからないんだろうなあ。なんだか某掲示板で見かける自分の非を認めずひたすら他者を悪人に仕立て上げる人を見ているような気持ちになりました。


現状を変えようと行動を起こす人たちの話がつまってました。 あと某ゲーム風にいうとSAN値の低そうな人が多かったような…。

少し変わった・変わっていく人の話、少し長めな短編が読みたい方は是非。