本の虫もどきは働きたくない

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【カームジンも】廃墟の歌声【あるよ!】

こんにちは、tori1031です。

ジェラルド・カーシュの短編集を読みましたのでその紹介を。

廃墟の歌声 / ジェラルド・カーシュ

廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)

廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)

パン屋、銀行員、用心棒にレスラー…著者は様々な職を経験されている方です。
すごいですよね…その頃の経験から生まれた話も多々あるそうです。
(カームジンにモデルがいるってのも驚きです)

私が読んだことがあるのは
天才的な犯罪者、あるいは世界一の大嘘吐きの語った様々な物語が詰まった「犯罪王カームジン」シリーズと、 奇妙な形の瓶に入っていた紙切れにまつわる「壜の中の手記」が表題の短篇集です。

今回の短編集「廃墟の歌声」は、その2つを足して2で割ったような話のラインナップです。
カームジンが出てくる話は全て「犯罪王カームジン」に収録されていますので、 この短編集を読んで、気に入ったら「犯罪王カームジン」を読むと良いと思います。
すでに読んでいる場合は…再読すれば良いんじゃないかな(

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【地味に真面目に】死神の浮力【仕事をするもの】

こんにちは、tori1031です。

気づけばブログを始めて一年経っていました。
…スローペースがだいぶ癖になってしまっていますね。
本はまあまあ読んでいるんですけど、記事にするのを放置してました。

それは一旦おいといて(ダメ)、久々の記事はこの本を。

死神の浮力 / 伊坂幸太郎

死神の浮力

死神の浮力

あらすじ

人間の25人に1人が良心を持たない「サイコパス」。 それが作家の山野辺が以前調べたサイコパスについての情報、そして最愛の娘を殺めた人間の性質でした。

娘を殺害した犯人である本城の無罪をニュースで見る山野辺と彼の妻。
山野辺夫婦は本城への復讐を企てていました。

夫婦の自宅前には、コメントをとろうとマスコミが張り付いています。
そこに雨を引き連れ、ママチャリで現れた黒尽くめの奇妙な男。

男は夫婦に情報を持ってきた、同行したいと伝えてきます。
彼は「千葉」と名乗りました。

山野辺夫婦は見ず知らずで、しかも色々とずれている千葉と共に復讐計画を実行に移しますが…


感想

「死神の精度」を読んでいたので、千葉が来ただけでテンションが上りました。
こっち読む前に「死神の精度」は読んでいたほうが良いと思います。
読んでいないと話がわからない、ことはないですが小ネタが少々ありますので。

千葉が夫婦と同行するために「弟が本城に虐められた挙句殺された」ってことにしているんですが
終始淡々としていて、「お前もうちょっとそういう演技しろよ」ってツッコミ入れたくなりました。
そんな千葉をパーティに加え続ける夫婦にはもっとツッコミたいです。夫婦もだいぶずれている気が。 けど千葉は魅力的だから仕方ないですよね

あとすごくどうでもいいですが、私は千葉の台詞をついエルシャダイルシフェルで脳内再生してしまいます。本当にどうでも良いですね。

序盤にちょっとした説明付きでモブ(仮)が出てくる度に「中盤~終盤絡んでくるんだろうなあ」と思いながら読んでいました。
「伊坂作品だし多分そうなる」的なメタ読みでつい。結果は読んで確かめてください(投)

千葉の同僚含め、死神は相変わらず良いキャラしてて読んでて楽しかったです。
仕事人間の千葉に対して、他の死神達は手を抜きたがるんですよね。楽したいよね

今回は情報部の事情が絡んでややこしく、いや大してややこしくはないんですけど。これない方が好、いやでもこれないと長編にならないだろうし
「死神の精度」のときは短編ごとに調査対象が変わっていたのに対し、「死神の浮力」では一人に絞られているのでその為でしょうか。

けど、調査対象が一人のまま話が進んだおかげで対象が何を思っていたかよくわかります。
特に死ぬことに関してどう思っているか、思っていたかは見どころだと思います。…見どころじゃなくて読みどころって言うんでしょうか?

こうは言ったものの、もしまた千葉の話が読めるなら精度のときの短編集形式がいいなと思います。
一人に深く関わる長い話もいいけど、いろんな人間とテンポよく絡む方が千葉の雰囲気には合ってる気がしまして。
まあただの個人の好みなんですが。


伊坂作品、死神の精度が好きな方、
渡辺一夫、カント、パスカルが好きな方は是非。

「これは私の言葉だ」

【かわいい】世界のかわいい小鳥~Little Birds~【かわいい】

こんばんは、tori1031です。

こんな日は癒されたかったのでこんな写真集を手に取りました。

世界のかわいい小鳥 ~Little Birds~ / 監修:上田恵介

世界のかわいい小鳥

世界のかわいい小鳥

とりあえず「シマエナガ」でぐぐってみてください。
可愛いですね。こういう子が沢山載っています。

感想

P6の破壊力。可愛い。
いや、全ページかわいいんですけども。
でもP97の開脚っぷりは油断していてぶふってなりました。

ツバメって紺と赤の組み合わせだけじゃないんですね。知らなかったです。 他にも、知らないことだらけでした。 メジロに対してメグロがいることも知らなかったし、色んな種類の青い鳥がいることも知りませんでした。

名前も姿も有名な子から全然知らない外国の子まで様々な小鳥が見られました。楽しい。

監修の上田恵介さんの小鳥談義を挟み、最後に索引があります。 索引には

【写真】 * ページ数 * ○○目/●●科 * だいたいの大きさ * 鳴き声

が載っています。


存分に癒されました。
次は梟とか猛禽類でも見ようかな。癒されるってよりはテンションが上がる系ですが。

【奇想コレクション】元気なぼくらの元気なおもちゃ【酒!薬!S●X!】

こんばんは、tori1031です。

奇想コレクションからこの本を。

元気なぼくらの元気なおもちゃ / ウィル・セルフ

酒!薬!セッ●ス!
…そんな話が詰まってます。

目次

  • リッツ・ホテルよりでっかいクラック
  • 虫の園
  • ヨーロッパに捧げる物語
  • やっぱりデイヴ
  • 愛情と共感
  • 元気なぼくらの元気なおもちゃ
  • ボルボ七六〇ターボの設計上の欠陥について
  • ザ・ノンス・プライズ

各短編 あらすじ・感想

リッツ・ホテルよりでっかいクラック

黒人の兄弟がクラック(麻薬の一種)を売りさばく話。
弟は薬やっていますが、兄はやらないことを信条にしています。

兄はかつて麻薬の売人をやったり、軍隊に入ったりしました。
家に戻って何か薬売り以外のまっとうな職に就こうとしていた矢先、家の地下室の壁の中に大量のクラックを見つけます。
考えを変えた兄は、そのクラックを売りさばきます。
弟に薬を売らせたり、自分も顧客を捕まえたり。
そうこうしているうちに、いくらでも買ってくれるお得意様がつきます。

建物はずっしりと重そうで、箱のように四角くて、そして白い。ミルクのように、透き通るように白い。

私の知っているミルクと違いますね…
この後も「ミルクのように」が出てきたんですけど首を傾げながら読みました。よくある表現なのにね。 気にするところ間違っているとは思います。

薬キメてる描写が事細かで、絶対体験したくないなと思いました。
薬、ダメ絶対。

虫の園

索引作りが仕事のジョナサンが虫と共に生活する話。

無個性な町で、コテージに常に寄ってくるうっとおしい虫や、ときどき訪れる連れにうんざりする日々。
色々と考えを巡らせたある日、小さな虫の群れがその身で文章を作ったのに気付きます。
「虫ノ園ヘヨウコソ」
虫達は彼の生活の手伝いをする代わりに、蝿取り紙などの虫を殺す道具を捨てて欲しいと伝えてきます。
そうして始まった生活はなかなか快適で…

田舎暮らしなら虫には慣れねば。…いや慣れていても嫌なことありますけど。

この短編集の中ではわかりやすい話、らしいです。
確かに流れはわかりやすいけど、途中の主人公の見た夢とか気持ち悪いのであまり人には勧められないかなあ。

とりあえず蝿の持ち上げられる重さの限界が気になりました。

ヨーロッパに捧げる物語

二歳児のわけのわからない言葉に悩むヨーロッパの夫婦の話。

上記の問題は高齢出産のせいではないかと不安になっています。
悩んだ結果、夫婦は病院で子供に詳しい検査を受けさせます。
一方、ドイツからやってきた60代男性は、疲れからか考えが纏まらず仕事に集中できないでいました。

老人視点がなければもう少しわかりやすいような、でもいないと話違ってくるような。ううむ。
医者はああ言っていたけど、Aのことを全く知らない人が当たり前のようにAの知識使ってたら気味悪いと思います。

やっぱりデイヴ

いつものカウンセリングを終えた主人公は、三人のデイヴがいるカフェに向かいます。
その中から友人のデイヴとおしゃべりしたり、悩みを打ち明けたりしていた主人公は、ふと友人の持つ特徴に気付きます。

これわかんない。
デイヴだらけなのが嫌だったのか、デイヴだらけなのを望んでいたのかさえわからない。

でも自分がわからない、っていう気持ちはわかる気がします。気が。

愛情と共感

大人たちは4mほどの巨人「エモート」とともに暮らしています。
エモートは子供らしい性格ですが、ペアの大人を精神面を守るように動きます。

エモートに自分と同じような服を着させている男女が、怯えながらも距離を縮める物語。
しかし大人や子供に妙な点が。

エモート、2mくらいなら欲しいような…いやいたら余計人と話そうとしなくなるから駄目ですな。

大人とは一体。
解説では「ラスト解せぬ」みたいな書き方だったけど、主人公達がエモートへ持った違和感の答え合わせに必要だったのかな、と思いました。

「あれ?」って思いつつ、「そんなはずない」と目を背けてしまうのはあまり良くないことかもしれましんが、自己防衛なら仕方ないのかな。

元気なぼくらの元気なおもちゃ

車と一体になる感じが好きで、酒や薬をとりながら長距離を無茶なスピードと運転で走る主人公。
途中で拾ったヒッチハイカーを質問攻めし、彼の情報を一方的に引きずり出します。
向こうが主人公のことを何か聞き出した時点で辞めるつもりでしたが、そうはならず…

タイトルは実際のおもちゃのCMの宣伝文句だそうです、作中でも言われていました。

主人公は色々考えすぎたのかな。その割に思考停止して逃げてるからかえってしんどくなったのかと。
とりあえず無茶な運転やめてください。

ボルボ七六〇ターボの設計上の欠陥について

「元気なぼくらの~」の少し前の話。
浮気・不倫していて、精神的に不安定な主人公の話。

車体と身長のくだりとか、説明書のくだりとか、読んでいるこちらが不安になります。

「元気なぼくらの~」で主人公がどうなっているかわかっているだけに余計救いがないです。

ザ・ノンス・プライズ

「リッツ・ホテルより~」の続編。
大量にあったはずの地下のクラックはあっという間になくなり、兄弟の立ち位置も逆になっています。

兄が薬をやっていなかった頃、軍に入るより前に薬を売りさばいていた頃。
彼は主人から麻薬をちょろまかしたことがありました。
その主人が兄を見つけ、復讐のため動きます。
結果、兄はやってもない犯罪、子供へ性的暴行を加えた挙句殺害した極悪人として収容されてしまいます。
薬が抜け、正気に戻った兄が無実を主張し外に出ようと動いた結果、なんと短編小説を書くことに。

「リッツ・ホテルより~」のときの兄のキャラが気に入っていたので、前半読むの辛んい辛かったです。

「電気工事ができるようにと思って申し込んだ講座が小説講座だった。何を言っているのかわからないと思うが(ry)」
ここのくだりは不覚にも笑いました。前半辛かった分、ここからはわくわくしながら読みました。
ラストは色々ありすぎて、うぇー…って。いやまあ。全部上手く行くわけないから自分の読み方が悪いんですけども。
最後のあの人の発言は悪い意味で使われていると思います。煽り。


一つの話で、主人公の考えが色々出てくるものが多く、主人公が色々キメてらっしゃることも多く。
読んでいて疲れましたが、普段手を出さないような話の詰まった本なので新鮮でした。

上手く表現できていませんが、ごちゃごちゃした話が読みたい方は是非。