本の虫もどきは働きたくない

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【短編20話】炎の中の絵【異色作家短篇集】

こんにちは、tori1031です。

更新空いてしまいました。

炎の中の絵 / ジョン・コリア

炎のなかの絵 (異色作家短篇集)

炎のなかの絵 (異色作家短篇集)

短編20本が収録されています。短いものだと6Pで終わります。

目次

  • 夢判断
  • 記念日の贈り物
  • ささやかな記念品
  • ある湖の出来事
  • 旧友
  • マドモアゼル・キキ
  • スプリング熱
  • クリスマスに帰る
  • ロマンスはすたれない
  • 鋼鉄の猫
  • カード占い
  • 雨の土曜日
  • 保険のかけ過ぎ
  • ああ、大学
  • 死の天使
  • ギャヴィン・オリアリー
  • 霧の季節
  • 死者の悪口を言うな
  • 炎の中の絵
  • 少女

あらすじ・感想

夢判断

3高層ビルの精神科医の診療室に、同じビルの最上階で働いている青年がやってきます。青年は38日前から、毎晩1階ずつ落ちている夢に悩まされています。

妙に現実味のある夢を毎晩続けて見るのは恐ろしいですね。精神科医ならもっと夢から分析するんじゃないかなと思っていたので拍子抜けしましたが、怒涛の展開面白かったです。

昔読んだはやみねかおるの名探偵夢水清志郎事件シリーズ「機巧館のかぞえ唄」で亜衣の話した怪談を思い出しました。あっちは13段ある階段毎晩1つずつ上がっていくし終わりも違うんですけどね。

機巧館のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)

機巧館のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)

記念日の贈り物

ペットに動物をとっかえひっかえする妻に嫌気がさした夫は、毒蛇を利用して妻を殺害しようとします。

毒蛇入手中のやりとりを見て夫応援するのやめました。
いくら主人公だろうと殺人しようとしてる人を応援しながら読むのもどうかと思いますけども。

ささやかな記念品

青年は散歩中に、丘の上に住んでいる老人の家に招かれます。老人は自宅をちょっとした博物館にしていると言いますが、そこの展示品は普通の博物館のそれとは違っていました。

老人の自慢は博物館以外にもう一つ、丘の下を見ることのできる望遠鏡があります。
こういう人を唆す話は面白くていいですね。

ある湖の出来事

ジャングルに憧れる夫と、都会での生活を夢見る妻。ある日夫は多額の遺産を受け取ります。夫は遺産を半分に分けて妻と別行動をとろうと提案しますが、夫をいたぶってきた妻は彼の旅行に同行し、妨害ばかりします。怪物を見に行った湖でさえも。

何が彼女をこうまで駆り立てるのか…
夫が鼠似で妻が猫似と最初に書かれているので、あの異常性に理由を求めるのは無駄かな。

旧友

20年連れ添ってきた夫婦、病に伏せた妻は最期に彼らの親友の名を口にします。それを聞いた夫は彼女が死んだ手続きを後回しにして、当時の彼らが三人で集まっていたカフェに出かけます。1杯飲んでいると死んだはずの妻が現れ、更に20年ぶりに親友と再会します。

20年って長いです。それほど長い間溜め込んでいたものが破裂した結果でしょうか。

マドモアゼル・キキ

ブサ…可愛くはないけどある理由で毎日餌をもらえている野良猫の話。野良猫達の異様な習慣、他所からやって来た飼い猫。

猫視点の話ってかわいい話しか読んだ事なかったので新鮮でした。キキって聞いてあの黒猫を連想したけどすぐにかき消されました。

  • スプリング熱

彫刻家はある日観に行った腹話術のショーを見て、自分の技術でリアルな人形を作り、それで同じ事をやれば儲かると考えます。題のスプリングは人形の関節の素材です。そうして作り上げた人形はまるで人間のようで…

ホラー展開にならなくて良かった…あと最後の主人公の判断。そっちの方が可愛いし仕方ない。

クリスマスに帰る

手回しの良い奥さん、クリスマスはいくら忙しくてもちゃんと夫を連れて戻ってくるからねと言い引っ越します。

ロマンスはすたれない

悪事を企てるウォトキンズ氏と善良だが自殺を考えているゴスポート氏。彼らは新住宅開発地で暮らしていますが、ちょっと妙な事が起こりまして…

鋼鉄の猫

鋼鉄の猫という名のネズミ捕りを発明した男は、実演に使っている相棒の鼠をとても手なずけており気に入っていました。

タイトルだけ見てマドモアゼル・キキみたいな話かな?と思っていたら違いました。
微笑ましい気持ちになったところを突き落とし、傷ついたところを最後更になぶってくる話です。(なんだそれ)

カード占い

とにかくよく当たるトランプ占いを学び富を求める女性は、客の中に大金を手にする未来を持った男に出会います。彼女は金目当てに男と結婚しますが…

金のことばかり考えるのはともかく、他人から奪おうとするのは駄目ですよね。
そんなによく当たる占いなら賭けでもすればいいのに

雨の土曜日

家族が大嫌いな男、彼の娘が殺人を犯してしまいます。どうにか娘が殺人犯だとばれないように考えます。そうして話し合っているとき、突然の訪問者に話を聞かれてしまい…。

生理的に無理というのはよくありますが、それが自分の家族ってしんどいだろうなあ。本編とあまり関係ないところですけども。

保険のかけ過ぎ

幸せいっぱいの若い夫婦の話。夫が車に撥ねられかけたのをきっかけに、彼らは片方が死んだ後でも理想の生活を送るために保険に入ります。

どうしてこうなった。いや、空想や理想を求めて現実をちゃんと見なかったからなんですけど。 バランスって大事ですね。

ああ、大学

父から嗜好品を減らすつもりはないので大学にかかるお金は払えないと言われます。代わりにポーカーの勉強してくれと言われ仕方なく取り組みます。勉強を終えた息子はいよいよ大勝負に臨みます。

草不可避。

死の天使

欲張り・優しくない・昔の恨みにこだわる妻に腹を立てた夫。彼は死の天使と呼ばれる猛毒のキノコを見つけ、それを妻に食べさせる事を決意します。

食べ物の恨みって恐ろしい。いや積もり積もった恨みが爆発したのであって食べ物オンリーではないんでしょうけど。

ギャヴィン・オリアリー

なんとノミが主人公。吸血した人の性格や状態にテンションが左右されるのが面白いです。

霧の季節

人のいう事を信じやすい人たちの住む町に引っ越してきた男はバーのウェイトレスに一目惚れします。彼は手相が読めると嘘をつき、彼女の気を惹くことに成功します。しかし席を離れて戻ってくると彼女は人が変わったように彼を突き放します。何故?

相手は突拍子のない話だろうと信じちゃうとはいえ、男はよく思いついて喋れるなあ。面白かったです。

死者の悪口を言うな

地下室の床のセメントを塗り替えていた医者はその現場を友人たちに見られてしまいます。彼らは冗談で死体でも埋めていたのかと言いますが、様子のおかしい医者とやりとりしているうちにそれが冗談でないことに気付きます。

序盤で医者が何をしていたかバレちゃうんですけど、そこで終わらずその後が面白い作品です。騙されました。

炎の中の絵

映画の脚本家を求めるマハウンドという男から沢山酒を勧められた主人公は、酔った勢いでおそろしく枚数のある契約書に署名してしまいます。〈その額で、永久に〉と書かれた契約書、マハウンドの妙な風貌に主人公は契約を破棄したがります。

マハウンドがヒロインに使いたがっている少女に合わせて主人公は映画の脚本を書くことになります。いやその脚本大衆に受ける?とか違うところに突っ込みいれてました。
主人公が序盤で気付いているしネタバレじゃないと思うけど、悪魔ですよね。しかし人間が悪魔に似ているのか悪魔が人間に似ているのか…。

少女

一箇所に定住できない放浪癖のある男と一家の会話文で成り立っています。

このロリコン


悪巧みが上手くいく人が少ない件について。なので半分読んでからは、どう失敗するのだろうとニヤニヤしながら読んでいました。…性格悪いなあ。
上手くいくときは「そうきたか!」とより話にのめり込めました。