本の虫もどきは働きたくない

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【懐古、逃避】レベル3【異色作家短篇集】

こんにちは、tori1031です。五月病にやられてました。

懐古気味なので異色作家短篇集からこの本を読みました。

この作家は映画「盗まれた街」が有名だそうです。

レベル3

ジャック・フィニィ

レベル3 (異色作家短篇集)

レベル3 (異色作家短篇集)

目次 ( 原題 )

  • レベル3 ( The Third Level )
  • おかしな隣人 ( Such Interesting Neighbors )
  • こわい ( I'm Scared )
  • 失踪人名簿 ( Of Missing Person )
  • 雲のなかにいるもの ( Something in a Cloud )
  • 潮時 ( There Is a Tide... )
  • ニュースの陰に ( Behind the News )
  • 世界最初のパイロット ( Quit Zoomin' Those Hands Through the Air )
  • 青春を少々 ( A Dash of Spring )
  • 第二のチャンス ( Second Chance )
  • 死人のポケットの中には ( Contents of the Dead Man's Pocket )

各短編 あらすじ・感想

レベル3

ニューヨーク・セントラル鉄道の社長や、ニューヨーク=ニューヘイヴン=ハートフォド鉄道の社長ならば、山と積んだ時間表にかけて、地下は二階しかないと断言するにちがいない。しかし、ぼくにいわせれば三階だ。なぜかなら、ぼく自身が、グランド・セントラル駅で、地下三階へ行ってきたからである。

友達にそんなものはない言いわれようと、主人公は地下三階の存在を確信しており、再び其処へ行こうとしています。確信の根拠、再訪を求める理由とは?

レベルって階のことだったんですね。
出だし(上の引用文)で惹き付けられ、そのまま一気に読んでいました。この話に限ったことではないんですけどね。
最初のあれに意味があるとは…。
こういう場所って何度も行けるもんじゃないのが定番ですが、主人公達は辿り着けるといいな。

おかしな隣人

正直なはなし、ヘレンべック夫婦に、どこかおかしなところがあると、最初から思っていたとはいえない。たしかに、ちょっと変わっていることには二つ三つ気がついて、はてなと思いはしたものの、すぐに頭から振りはらってしまった。夫婦ともいい人間だった。ぼくは彼らが好きだった。それに、誰だって二つや三つ、おかしな癖は持っているものだ。

ずっと国内で暮らしてきたというのに小銭がわからない、ドアは勝手に開くものと思っている…そんな些細なことよりずっと、おかしな話を聞くことに。

隣人あまり誤魔化す気がなかったんでしょうか。

こわい

私は心底おそろしい――じぶんのことはさほどでもないが、あんたやほかの、私のように六十六でもなく、人生をまだ生ききっていないみんなのために、怖い。なにがといって、私は最近この世界に、ある恐ろしい危険が起きはじめているのを知っているからだ。それらは離れたそこここに起き、なんとなく噂になって、やがて置き去られ忘れられてしまう。だが私は、そうした一連の出来事の招待が、はっきり認識されないかぎり、やがて世界が、白昼夢のなかへ頭から突っこんでゆくことを確信している。
あんたはじぶんで判断するがいい。

最初、主人公がラジオから既に亡くなった人の声を聞いたとき、良い話のネタができた程度にしか思っていませんでした。しかし、主人公の話を聞きつけた人たちから似たような、時間軸が乱れたような奇妙な話がどんどん集まってきます。
そして主人公がたどり着いた「こわい」事実とは。

まんじゅうこわい違う違う。

ここまで三話続けて同じ願望が出てきて、最後がこれですから考えてしまいます。
歪みを引き起こすほどのそれは問題、かといって無くすことはまず無理な感情です。

失踪人名簿

普通の旅行案内所へ入っていくような顔をして入っていくんです。バーで逢った、見知らぬ男はそういったのだ。ありふれた質問を二、三するんです――旅行の計画とか、休暇の過ごし方とか、なんでもよいからそんな質問をなさい。それから、例のパンフレットのことをちょっとほのめかしてみる。ただし、どんなふうにいってもいいが、急くことだけはいけませんよ。彼のほうから切りだすまで待っているんです。そしてもし彼が持ちださなければ、あきらめたほうがよろしい。あきらめられたらですがね。つまりあなたには結局見えない、あなたがそのタイプでないということなのだから、それにもし、あなたから尋ねようものなら、彼はいったい何のことをいっているんだという顔をしてみせるだけでしょうからね。

その言葉を胸に主人公はある期待を胸に旅行案内所へ向かいます。主人公の望み、そして例のパンフレットとは一体…?

全て遠き理想郷。
「バーで逢った、見知らぬ男」が何故パンフレットの話を知っているのか不思議でしたが、最後まで読んでわかりました。
私もパンフレット欲しいです。向こうにネットが無いのは残念ですが。

雲のなかにいるもの

ペン・ステーションの雑踏を人並みにもまれながら歩いていくチャーリイの姿を、あなたがふと見かけたにしても、二度と見直しはしなかっただろう――事実だれひとり、そんな者はいなかった。

自分の姿に夢見て、声しか知らない相手に夢を見る男女は待ち合わせます。 過剰な空想として雲のなかに現れる相手の姿はもちろん現実の相手と違う姿をしています。
二人は互いに気付くことができるのでしょうか?

漫画の手法を小説にしてみた。そんな感じです。
知らない人と会うときはもっとお互いの特徴を伝えるか、合図を決めておくべきだと思います。
衝撃のラスト、というには大げさかもしれませんがあれには驚きました。

潮時

この話は、ぼく自身のためにする。気になって、苦しくて仕方がないからだ。

昇進のために同僚を陥れたい、けれど良心が邪魔をする…悩む主人公の前に、老人の幽霊が現れます。やがて消えた幽霊もまた、良心とたたかっていたよう見えました。
それを見ていた主人公にある考えに至りました。もしやあれは未来の自分の姿では?
疑問を振り払うべく、主人公は住んでいるアパートにかつて住んでいた人を調べ、訪ねます。

不思議な話です。
幽霊はやり遂げたけど、本当にそれで良かったのかな。
やり遂げなかったらしんどかったとは知ってる、知ってるけども。

ニュースの陰に

警察署長クエイルに関するでたらめきわまる中傷記事がどうしてクラリオン新聞にまぎれこんだのか、だれひとり知るものはなかった。が、全責任は主筆にあった。それは金曜の印刷日で、旧式な平圧印刷機が、週に一度発酵される千二百部の新聞をいよいよ刷りにかかろうとする前の小休止のときだった。

鋳造植字機の鉛に隕石交じりといわれる文鎮を混ぜ、それで記事を書くと可能性のある出来事ならその通りになるようなりました。はじめ主人公は警察署長への嫌がらせや、好意を寄せている相手と夜会などの同行に使っていましたが、段々エスカレートしていき…

クエイルさんが可哀想な件。

世界最初のパイロット

おい、若いの、両手をひろげてぶんぶんいうのはもうやめんか――お前が飛行士なのはよくわかったよ!お前は戦争でよく飛んだともさ。わしの孫もそうだった。じゃが、だからといって戦争のことならなんでも知ってるって顔はしなさんな。飛行機のことだってさ。

老人は世界最初のパイロットだと言いますが、その頃にはまだ飛行機は登場していません。
飛行機は元教授の少佐が発明した機械で未来から運んだ、そう語った老人の飛行機と戦争の話とは。

飛行機を持ってくる部分は、ゼル伝時空の章を思い出しました。過去にそれがあるかないかを利用するんですよね。 草刈ったとこで竪琴使ったら、草が復活して動けなくなって、過去と今を延々と繰り返すことになったっけ…(遠い目)
エスサァ

青春を少々

ふつうの雑誌の挿絵では、とてもこの物語にはむかないだろう。たとえば、主人公の娘は (名前はルイーズ・ハップフェルト) 美人というほうではないし、青年はといえば (ラルフ・シュルツというのが、その名前だ) 、背が低くて、眼鏡をかけているというていたらく。

物語の人生もとい恋愛に憧れ、真似てみた男女の話。彼らは物語のようにうまくいくのでしょうか?

なんでや!眼鏡関係ないやろ!

つらいだけの物語も多くあるとは思いますが、物語の人生がはるかにすばらしいのは同意ですし羨ましいです。

第二のチャンス

それはよくわかっている。なぜぼくが世界中のだれ一人として憶えてすらいないような時と場所に行きついてしまったのか、その理由をはなせないということは。だがぼくにも、あの日の朝、田舎道からわずかはずれた古納屋の中に立って、あそこへぼくを連れてゆくはずだったものを、呆然と見おろしていたときの気持ちなら、話せるかもしれない。

クラシック車が大好きな主人公はジョーダン・プレイボーイだったもの、列車と衝突しぺしゃんこになった鉄くず同然のそれを手に入れ、当時の部品のみで元通りに復元します。
彼女をドライブに誘うも失敗し、寂しいところに行きたくなった主人公が田舎の旧道を走っていると不思議なことが起こります。
クラシック車ばかりが走っている町、おそらく1923年にタイムスリップしてきたのでした。
停車しているうちにジョーダン・プレイボーイが盗まれた後、主人公は無事現在に帰ってきますがまたしても不思議なことが。

あらすじうまくまとまってませんが、すごく面白いです。
タイムトリップもののお約束のような展開かもしれませんし、「潮時」を読んだ後ってのもあるかもしれませんが、後半好きです。

死人のポケットの中には

居間の小さなデスクに向かって、トム・ベネクは二枚の薄紙と、やや厚手のトップ・シートを一枚、カーボン紙を間にサンドイッチにして、ポータブル・タイプライターに巻き込んだ。トップ・シークレットには『社内用便』と印刷してある。その真下に、彼は明日の日付をタイプした。それから、タイプライターの横に置いた、彼の手書きの文字が一面に書きこまれて折目のついた黄色の紙に、視線を走らせた。

妻と過ごせないことに罪悪感を感じながらも仕事を頑張る主人公。次の仕事のために様々なデータを黄色の紙に纏めていましたが、それが風に飛ばされて5ヤード ( ≒4.572メートル ) は離れた、隣のアパートのはでな角飾りに挟まってしまいます。
今までの努力の結晶を諦めきれない主人公は壁の出っ張りやレンガの引っ込みを伝って紙を取りにいくことにします。…十一階の窓の外へ。

大事なものに気付けて良かったねって話なんでしょうけど、死ぬほど怖い思いして最後ああなったら主人公と同じ行動は取れないです。

机の上にメモとか紙を置きっぱなしにしないことを決意しました。…部屋一階ですけども。
文鎮、かっこよく言うとペーパーウェイト?で風に飛ばされないようするのが楽でいいかもしれませんね。かっこいいのが欲しい


それぞれの話で色んな読後感がありました。微笑ましくなったり、納得したり、失敗に同情したり…
「盗まれた街」など、他の作品も読みたくなりました。

時間に関する話と、逃避願望の出てくる話が多かったです。恋愛物も少々。
時間絡みのSFが好みの方や、「あの頃はよかった」と思っている方。是非。

【近未来・宇宙】無限がいっぱい【異色作家短篇集】

こんにちは、tori1031です。

この本は異色作家短篇集の中でも特にSF色が強いと思います。

無限がいっぱい

ロバート・シェクリイ

無限がいっぱい (異色作家短篇集)

無限がいっぱい (異色作家短篇集)

目次 ( 原題 )

  • グレイのフラノを身につけて ( Gray Flannel Armor )
  • ひる ( The Leech )
  • 監視鳥 ( Watchbird )
  • 風起こる ( A Wind is Rising )
  • 一夜明けて ( Morning After )
  • 先住民問題 ( The Native Problem )
  • 給餌の時間 ( Feeding Time )
  • パラダイス第2 ( Paradise Ⅱ )
  • 倍額保険 ( Double Indemnity )
  • 乗船拒否 ( Holdout )
  • 暁の侵略者 ( Down Invader )
  • 愛の語学 ( The Language of Love )

各短編 あらすじ・感想

グレイのフラノを身につけて

トマス・ハンリーが、その妻にえらんだ婦人との最初の出会いに用いた手段は、いちおう、ここに記録しておくだけのものがあるように思われる。とりわけ、人類学や社会学の研究にたずさわる人たちとか、猟奇趣味に熱をあげている好事家たちにとっては、見逃すことのできぬ事実といえるのだった。

好青年なトマス・ハンリーはロマンスを夢見ていました。夢みているのは彼だけでなく、皆がそうでしたが。
ある金曜日、どこにも寄る気になれずアパートに帰宅したハンリーの元にセールスマンが訪れます。
彼が売っているものは簡単に言うとロマンスで、ハンリーは数日それを試すことになります。

小型機械で指示をもらうんじゃそれはロマンスと呼ばないんじゃ…セールス側の商魂逞しいなあ。
最後のハンリーの気持ち分かる気がします。しっかし商魂逞しいなあ。

ひる

フランク・コナーズ教授の所持する土地に、あらゆる物質、エネルギーを吸収する地球外生命体のひるが現れました。吸収能力以上のエネルギーを与えれば退治できそうですが、検討や手続きをしている間にひるはどんどん成長していきます。何か手はないものか…

人類学の講義、物理・化学の勉強、六つの学会委員、一年に一冊本を執筆…教授すごすぎ。
その知識をいかしてひるへの対策をちゃんと考えるとこも偉い。そんないざというとき役立つような勉強がしたいですね。自分も勉強しないと…

将軍のやると決めたらやりきるっていうのは素晴らしいけど、時と場合によっては折れたり諦めたりすることも必要なんだよなあ。

監視鳥

殺人事件を未然に防ぐため、殺意に反応する機械の鳥を大量生産し、空に放ちました。機械学習を行うそれはだんだん殺意の定義がエスカレートしていき…

よくある(?)、ロボットの暴走に手をつけられなくなり人間が危機に瀕する話です。そうなることは知ってた。
苦痛をさっさと取り除きたいという気もわかりますが、最後の下りは学習能力ない人たちだなと思いました。

話は違うんですけどフィリップ・K・ディックの短編に殺戮のためにつくられたロボットがいたのを思い出しました。変種第二号だったかな。

風起こる

外では、風が起こりつつあった。だが、ステーションのなかのふたりには、考えることがあった。

地球から遠く離れた風の吹き荒れる惑星キャレラ、その観測ステーションで働くクレイトンは貯蔵タンクとステーションを繋ぐ水道管の修理に、プルートという頑丈な乗り物に乗り出ます。キャレラ人は今日の風はたいしたことにはならないと言っていましたが、どんどん酷くなっているような…?

クレイトンは死亡フラグ建てすぎだと思うの。それとも「仕事辞める辞める詐欺」の場合は逆に折ってることになるのかな?
時速70マイル(≒時速112.65km)以下にならない惑星をわざわざ観測しなくていいと思うのですが、偉い人の考えることはわからないです。 無風状態だと生きていけないけど、その星にばっちり適応する宇宙人の姿形がユニークです。

クレイトンがどう切り抜けるのか、はらはらしながら読みました。最後クレイトン達にとっては笑うところじゃないのに笑ってしまいました。

一夜明けて

昨夜は酒を飲みすぎく記憶がおぼろげ、目を覚ますと未開のジャングル(地球外)にいるというわけのわからない状況。危険な生物から逃れながら彼は昨晩の記憶を辿り、ついに思い出します。
――そうだ。こんな場所にいる理由は、

合法ドラッグ(ガチ)
働く必要は無い、娯楽に溢れている、でも自殺が増えている世界。
働きたくないでござるってよく言っちゃうけど、この世界は嫌だなあ。

先住民問題

反集団的な性質を持って産まれた主人公、集団から離れて生活すべく無人の星へ行きます。自然豊かな過ごしやすい星でのんびり暮らしますが、流石に人恋しくなってきた主人公。そんなある日、旧式の宇宙船がこの星に着陸します。
宇宙船から降りてきた人達に主人公は友好的に接しますが、彼らは主人公のことを先住民と決め付け、何かとつっかかってきます。

読んでるとき「あいつは話をきかないからな ( 某大天使 )」が何度脳内で流れたことか…
先住民問題で痛い目に合っていると知っても、彼らの相手の話に耳を傾けない姿勢にはげんなりします。ちゃんと主人公の説明聞けばいいのに。いっそ地球に戻ればいいのに。

主人公が彼らの思い込みを利用して立ち回ったり、最後に皮肉(?)を言っているところは痛快でした。

給餌の時間

グリフォンがとる唯一の食餌は、若い処女である。餌をあたえる時期は、一ヶ月に一回、そしてその管理には訓練が必要であって――

珍しい古本が好きな主人公は「グリフォンの管理と飼育」という本を見つけ、購入します。
管理と飼育について詳しい説明の書かれた本の終わり近くには、動物園に行く方法も載っていました。

グリフォンにはちゃんとお辞儀しないと…それはハリー・ポッターか。

短篇集の中で一番短い話です。鮮やかなオチです。

パラダイス第2

その惑星ステーションは、なにかを待ちうけるように、惑星の周囲を運行していた。

料理上手なハワードと機械の扱いに長けたフレミングの二人は商用に使えそうな無人の惑星を発見します。傍の惑星ステーションに明かりが点いていたため、人の死に絶えた惑星を調査した後でステーションも調査することになります。そこでフレミングは罠にかかり、ハワードは出口を塞がれてしまいます。

かれはわめいた。
「だれがこんなことをした? なぜきさまたちは、ステーションにあかりをつけたんだ? フレミングをどうしたんだ?」

読んでる間ずっと不安になる話でした。
ハワードのおなかはすいてないけど、安心するために食べるってのがわかるような…。

衝撃のラストって言葉がぴったりです。
これまた話は違うし舞台も違うのですが、ダールの「豚」を思い出しました。

倍額保険

主人公は時間旅行の倍額保険を利用して一攫千金を企みます。そのために過去を遡り目星をつけておいた自分に良く似た人間を探しますが、なかなか条件にぴたりと合った人物が見つかりません。現在から千年以上時間を移動してはいけない、けれどその時間の中には見つけられなかった主人公はそれを破ります。ついに見つけた人物と手を組む主人公、ようやく倍額保険を手にする計画が始動します。

これもまた(ry)、ドラえもんが未来の自分を呼んでのび太の宿題を終わらせる話を思い出しました。
「やろう、ぶっころしてやる」
「きゃあ、じぶんごろし」

ハイリスク・ハイリターンな話です。「発つ鳥後を濁さず」という言葉があってだな…主人公は二度と戻るつもりがなかったからだろうけど、だとしてももうちょっとうまく立ち回ればいいのにと思いました。

乗船拒否

フォーブズはその新任補充員に会ったわけではなく、また、会おうとも思っていなかったのだが、話をきいただけで、たくさんだというのだ。かれの説明によれば、それは個人的な問題ではなかった。かれの苦情は、純粋に、人種的な理由にもとづくものだった。

出発四時間前の宇宙船で、人種差別など残っていないような時代にフォーブズが人種的な理由から乗船拒否します。今更新任補充員を変更することも、フォーブズの代わりを補充することも、出発を遅らせることも難しい状態で、船長は船員達にフォーブズの問題についての話や意見を聞き込みます。

「人種差別などない!」って言ってる登場人物みんなが「○○人だから××だ」「○○人とは働けない」「○○人の考えてることはわからない」って言っちゃう世界。
文化の違いも歴史認識の差もあるしそんなもんですよね。差別は駄目だけど区別は必要だと思います。

暁の侵略者

この特殊なテクニックをもってすれば、たとえ異星人がどのような種族であろうと、またどのような敵意を抱いていようと、地球人はその新環境のなかで、戦いぬくことができるにちがいなかったのだ。

人口の増えすぎた地球を離れ、とある惑星に暁の時刻に着陸した若者。明るくなってから惑星について調べた結果、地球人の生存に適さないと判明します。

侵略を完了するのに、一時間以上はかけるわけにはいかない。

一人の異星人と遭遇した若者は、「特殊なテクニック」を用いて相手の心を侵略しようとします。

侵略が肯定されている嫌な世界です。住みづらそうな星を侵略せずに無人星を開拓しなよ…。
初めてこの戦闘を行っている筈の相手がやり慣れている事情が最後にわかります。侵略の攻防からこの終わりに辿り着くとは。

心と心の戦闘描写はなんでもありで面白いです。学校にテロリストが襲撃して来る系の妄想の参考にしてはいかがでしょうか。

愛の語学

彼女への愛を陳腐な言葉で語りたくない…。
正しく言葉にしたい青年は「愛の語学」の存在を知り、それを知る唯一の人物の元へ教わりに行きます。

草失礼。 地球に戻った青年の第一声がw
いや語学的にはそれがベストなんでしょうけどもwww

両者が理解してないと意味無いですよね。ってそこで終わらないのが流石。


句読点やひらがなが多くて少し読みにくいです。

収録作品のほとんどが近未来や宇宙を舞台にした話です。(例外に給餌の時間が挙がると思います)
ですので、近未来や宇宙ネタがSF好きな方にオススメしたい一冊です。

【ミルクノットパン】こねるパン作り

こんにちは、tori1031です。

先週は作れなかったけど、今週はパン作りしました。ついにこねるパン作りです。

参考にしたのは此方の本です。

絶対おいしい!はじめての手作りパン

絶対おいしい!はじめての手作りパン (Cooking1年生)

絶対おいしい!はじめての手作りパン (Cooking1年生)

この本の「ミルク・ノットパン」を作りました。

パンについて

目次でパンの名前を見たとき、「牛乳使わないなんて普通じゃん」と思いましたが
「ノット」は結び目のことで、牛乳を使った成形が結び目のパンのことでした。 無知乙

水は一切使いません。また、この本の丸パンのレシピに比べて三倍のバターを使うので、バターの風味が感じられるパンになります。

変更点

こねないパン作りをして手作りパンはイースト臭・イースト味が少ないほうが美味しいと気付いたので今回、レシピのイースト使用量2.5gのところを1gに減らしました。

発酵時間は倍以上に増えますが、その時間で他のことをするので無問題です。

他はオーブンの余熱を少し高くして、焼く前に霧吹きしてからレシピ温度で焼きました。

作ってみた

完成品がこちらです。

ミルクノットパン

…本の写真とえらく違います。

  • 天板を二段ある方の上の段に入れて焼いてしまった

  • バターがちゃんと混ぜきれてなかった

  • 成形が雑

この辺りが原因かと思います。基本が駄目という。

次回は焦って天板入れないようにします…。

一応ちぎったときの写真も。

ふわふわ

焼きたてだと表面がややクロワッサンみたいになっていました。バターの練りこみが甘かったせいかと思います。

中はふわふわしっとりしていました。ほんのり甘いです。

前回同様、食べたことないパンなのでこれが正解かは謎ですが、美味しかったので満足です。

【物欲には】この春始める・始めたこと【勝てなかったよ】

こんばんは、tori1031です。

滑り込みですが、今回も「今週のお題」に挑戦します。

春に始めたいこと、始めたことですね。すでに始めたもの二つとこれから始めるもの一つを書きます。

まずはすでに始めたものです。

パン作り

三月からパン作りを始めました。(前々回前回)

お菓子が作れないならパンを焼けばいいじゃない」と始めたのですが、
焼きたてパンが食べられるのと、発酵中に本が読めるので今後も続けたいと思います。

まだこねないパンしか作ってないですが、そのうちこねるパンも作りたいです。

スロトレ

スロトレ

スロトレ

三週間前から始めました。一つの動作に時間をかけて、負荷をじっくりかける筋トレです。

健康診断でBMIが少ないと注意されたので、筋肉で体重増やせないかなと思いまして…(体型は変えたくない)

以前と比べて若干上腕に筋肉がついたよう思います。肝心の体重はまだ変化していません…。

最後はこれから始めることです。

万年筆の使用頻度を上げる

以前から万年筆に興味があり、一年前Kakunoを入手しました。

ペン先可愛いし、使いやすいので購入して満足していました。流石人気商品。
Kakunoは現在日記を書くのに使っています。

使用頻度を上げる、と書いたのは日記意外で使うようにしようと思ったからです。 Kakunoの書き味で満足していても、金ペンとか吸入式とか、つい他の万年筆が欲しくなるんですよね。まだ次の一本を買うのは早いとおもっていたのに、日曜日に新しく万年筆を購入してしまいました…物欲に弱いです。

買ったのはカスタム98(EF)です。そのうち記事も書きます。

何に使うか決めずに買ったのはミスでした。でも折角私にはお高い万年筆を買ったので、ここで宣言させてもらいました。

字幅をEFにしたこと、ショートサイズ(?)であることを考えると手帳用にするのがベストでしょうか。でも自宅でも使いたい…。

とにかく使って、私に合った書き味にしたいです。

【映画原作】蝿【異色作家短篇集】

こんにちは、tori1031です。

「蝿男の恐怖」や「ザ・フライ」の原作、「蝿」の作者の異色作家短篇集を読みました。

蝿(はえ) (異色作家短篇集)

蝿(はえ) (異色作家短篇集)

蝿(はえ)

ジョルジュ・ランジュラン

どの短編も誰かに捧げられていて、登場人物にその名前が使われることもあります。酷い目に合う事もあります

以下目次やあらすじ、感想など。

はしがき

時を主題とするサイエンス・フィクション作品は、まず失敗することはないと言われるが、ランジュランのものはまったく独創性に満ちていて、その理由はたぶん彼の内部体験から抽出されたものだからだと思われる。

ジャック・ベルジェさんによる推薦文です。期待が高まります。

主人公には優秀な科学者の弟がいました。弟の妻からの電話で彼女が弟を殺害したことを聞かされます。警察へ連絡して優秀な警部と現場の工場に駆けつけると、頭と左手が50tもあるスチームハンマーの下敷きになった弟の死体がありました。
義妹は自認こそしたものの、他のことを一切喋らないため真相はわかりません。蝿に執着する彼女は狂ってしまったのか、それとも狂ったふりをしているのか。

読んでいなくても映画などで設定は知っているという人もいるのではないでしょうか。
初代ポケモンで同じような目に遭っていた人もいましたし…

設定や結末を知っていましたが、面白さが半減するようなことはなかったです。 序盤から出ている真相に関わる単語を見つけてにやりとしたり、主人公や弟夫婦の心情に触れたり、一度読んだ本を読み返すような楽しさがあります。

奇跡

機関車の脱線事故から奇跡的に助かった男は、足が動かなくなったと多額の賠償金を得ました。しかしそれは賠償金を増やす為の嘘でした。いつまでも歩けないフリをするつもりのない男は、次に奇跡的に足が動くようになったことにしようと企てます。

どうやって医者を騙したのかが気になりますが、突っ込むところはそこじゃないので置いときます。
うまいこと人を騙す男の転落をいまかいまかと待ちながら読んでいました。いや、うまいこといきすぎてるので何処かで失敗するはずだと思ったのでついそんな読み方になってしまいました。
どうなったかは読んでみてのお楽しみということで。

忘却への墜落

速度を増しながらどこまでも落ちていく――主人公は昔からこの悪夢に悩まされてきましたが、今ではこれを見ることを歓迎していました。
妻を殺した疑いをかけられた主人公は、そのときのことを覚えていないものの自分はやっていない確信がありました。悪夢を見るとそのショックで徐々に思い出しています、もっと長く墜落すれば無実も証明できるはず…

落ちていく夢というとジョン・コリアの「夢診断」を思い出します。話の内容は違いますが。 読み終わったときも他に連想した話があるのですが、それ書くとネタバレになってしまいますね。

早く思い出さないと死刑になるのに主人公が落ち着いていられるのが不思議でなりませんでした。

彼方のどこにもいない女

弟の事件の調査をしていた主人公は弟の別荘に訪れますが、そこで悲惨な事件は偶然起きたのではなく、責任の一端は弟にもあると感じます。音を拾うように部品が足されたテレビ、誰かに当てられたメッセージや"彼女"の写真の端…それらや妻の協力で辿り着いた信じがたい真相を物語として纏めます。

次元違いの恋は切ないものですね。…我々の想像する相手より次元が二つほど多いですけど。
悲惨な事件が想像以上に悲惨だった件。

御しがたい虎

背の低いことがコンプレックスなダルボン氏は催眠術について学んでいました。背の高い魅力的なガザード夫人や彼らの伴侶とともに動物園を訪れ、ダルボン氏は動物相手に催眠を行えることに気付きます。様々な動物を相手に確信を得たダルボン氏は、最後に虎の前で自身の能力について話しますが…

(あかん)

他人の手

外科医に妙な患者がやってきます。彼はいたって健康な彼自身の手首を切断してくれと言うのですが、これは自分の手ではないからだと言います。医者は手術を断りますが、その後運ばれてきた急患は自分で手を切断した彼でした。何がそこまで彼を追い詰めたのか。彼に自分の手が他人の手になった話をさせます。

星新一ショートショートに「移植された部位が元の人格に基づいて動く話」がいくつかあったのを思い出しました。自分の思い通りに動くと無条件で信じている分、自分の体が自分の意思に逆らって勝手に動くというのは考えるのも嫌ですね。

安楽椅子探偵

主人公はリウマチを患ったおじいちゃん。我が家が騒がしい、どうやら赤ん坊が誘拐されたらしく…。

違和を感じながら読み進め、その正体がわかったときの驚きと納得。最後のあたりのおじいちゃんの気遣いなど、良い物語が読めました。

悪魔巡り

「もちろん、取り決めをしておくのさ。あんたの魂とひきかえに、もう一度あんたに機会をあたえてあげよう」

妻の悪化した喘息のために老いた愛犬を安楽死させた男は、その夜に妻も亡くしてしまいます。こんなことなら…そこに悪魔がつけこみ、「もう一度」を望んだ男は契約します。

現代版童話みたいな話です。男は動物の気持ちが分かる人だったから、安易に男が悪いとは言えないのかもなと思いました。優先度、人>動物というのも人<動物というのも極端すぎるのは駄目ですけど、かといって人=動物も無理だしなあ。

最終飛行

これが最終飛行で、これからは食後もゆっくり休めるし、事務所で秘書と無駄話でもして過ごさなけりゃならんのだからな

パイロットの主人公は1001回目のフライトで引退することになりました。ラッキーと呼ばれる主人公は、戦争中を含めても死ぬほど危険な目にあったことはないといいます。しかし最後のフライト中、窓の外に奇妙なものが…。

「妻が心配するからこれで最終飛行なんだ…」
こういうの出たらすぐ「フラグかな」って思うようになってます。悪い癖ですね…。

考えるロボット

事故で恋人を亡くした女性に頼まれ、主人公は墓地に忍び込み彼の棺を覗きます。そこには何も入っておらず、女性は恋人が生きていると思ったから主人公に確認してもらったと言います。
何故そう感じたのか、それは恋人の癖を持ったチェスをするロボットを見たからだと女性は言います。
ロボットではチェスはできない、中の人がいるはずだと主人公は調査しますが…

チェスを知っていれば、一人にしろ、大勢の人間がかかるにしろ、たとえ一生涯を捧げてもチェスの無限の組み合わせをロボットに植えつけることができないのを承知のはずです。

コンピュータにチェスや将棋が出来る時代が来てしまいました。かがくの ちからって すげー!
最近よく人間とコンピュータで将棋やっていますが、コンピュータ側のメモリとかに縛りを設けても良いと思います。人間が思考停止するようにコンピュータにも処理落ちとか面白そうです。…プロ棋士は思考停止しないでしょうけど。

終わり方は似ていませんが、話の展開に乱歩を連想しました。


謎を追う話が多いので、異色さよりも冒険・探検要素が強いよう思います。
どきどき感を味わいたい人は是非。